最初にお断りしておきたいのは、この記事が誰にでも当てはまる内容では無いということと、もし年金の繰上げ請求を考えているとしても一度給付されると止めることは出来ないので「充分に検討をしたうえで結論を出して頂きたい」ということです。
年金を繰上げ請求する理由を考える
年金の繰上げ請求に踏み切る前に「本当に繰上げをしても後悔しなか」を考えておきましょう。繰上げを決意する理由には個々で異なると思います。金銭的な理由は勿論ですが例えば「この先何歳まで生きられるか分からないから早めに請求し有効に使う」という考えも当然あるでしょう。
「今の世の中何があってもおかしくないし早めに貰って有効に使いたい」と考える方は多いのではないでしょうか。
逆に「年金だけで暮らすなら月々の年金額を出来るだけ多くしたい」という考え方もあるでしょう。また、中には「年金に今頼らなくても充分に収入がある」という方もいると思います。
いずれにしても後々後悔しないように『確固たる理由を決めてから結論を出すべき』でしょう。
年金の相談予約
迷うくらいなら専門家に相談
年金の請求をするといっても「何をどうすれば良いのか?」また、「どんな書類が必要なのか?」なかなか分からないのが現実です。
『年金機構の窓口で年金相談を申し込む』のが最も手っ取り早いのではないでしょうか。年金相談の申し込みは電話でも出来ますがインターネットでの申し込みもかなり使い勝手が良く以外に簡単に申し込むことが出来ます。
自分で色々調べてみるのも大切ですが、専門家に無料で相談が出来るのでお勧めです。
年金相談のネット予約はここから
年金相談についてのご案内|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
予約の入力前にご自身の情報『基礎年金番号』『電話番号』『メールアドレス』を用意しておきましょう。
また、配偶者の方がいる場合は配偶者の方の『基礎年金番号』『生年月日』を用意しておきます。
相談の予約をする
まず、幾つかの事前確認を通過し相談に行く窓口と日時を(第三希望まで可)選択します。場所については『年金事務所』の他にも『相談センター』というのがあります。
相談予約には自分の『基礎年金番号』(年金手帳を開いたところに書いてある4桁6桁の計10桁の番号)と『電話番号』『メールアドレス』が必要になります。勿論、『氏名』『住所『生年月日』も必要です。
配偶者の方がいる場合は配偶者の方の『基礎年金番号』『氏名』『生年月日』を用意して下さい。
気を付けたい点として『基礎年金番号』は全てを入力する欄と間違い防止のための指定の桁の数字を入力する欄があります。
また、数字を入力する欄は半角で『氏名』『フリガナ』『住所』は全角で入力する必要があります。
『電話番号』と『メールアドレスを二度(確認用)』入力し『配偶者の有無』を選択します。
配偶者が『いる』を選択すると配偶者の『基礎年金番号』や『氏名』等を入力する欄が表示されますので、誤りの無い様に入力していきましょう。
『入力内容を確認』のボタンを押し入力内容に間違いが無いことを確認して下さい。
最後にどんな内容で相談したいのかを「年金の繰上げ請求をしたい」等簡単に入力します。
入力が終わったら内容を確認し『予約を申し込む』ボタンをクリックします。
この時点ではまだ仮予約も完了していません。
仮予約の確認メール
仮予約の確認メールが届きますので。30分以内にメールに記載されたURLから入って仮予約を完了させます。
何故まだ仮予約なのかというと、選択した日時が既に埋まっているかもしれないからです。
仮予約した日時が空いていると翌日には予約確認のメールが届くのでメールに記載されたURLから当日必要な書類等を確認し用意します。
年金の繰上げ請求について調べても分からない
年金については、私も数年前から色々調べてはいました。しかし詳しく調べれば調べるほど判然としませんでした。
また、繰上げ請求について調べようとしても結局分かったのは「減額される」ということと『老齢基礎年金』と『老齢厚生年金』の両方とも繰り上げなければならないということ。
そして繰上げ請求をすると『障害者年金』『寡婦年金』の支給が無くなるということ。
一番知りたかったのは『繰上げ請求』にはどの様な手続きが必要なのか。そして「どの様な書類を用意しなければならないのか」ということでした。
まず残念だったのは、FP系のサイトは全く役に立たなかったこと。出てくるのは「どれだけ得か」「どれだけ損か」当然ですが結局決めるのは自分だということ。
そして行政のサイトは更に分かり辛くて、自分の場合は何が必要で関係無いのは何なのかが全く分かりませんでした。それもそのはずで様々な条件の方向けに解説しているので、私の場合というのは特定できなくて当然です。
やっぱり『損か得か』が一番興味あることだけど、私の場合は繰上げするのを決めているので、どんな書類が必要なのかを知りたいだけなんだけど。
相談の申し込みでもう一点のメリットは予約確定のメールに『年金の請求に必要な書類』の一覧が記載されていることです。
必要な書類の例
①自分の年金手帳(基礎年金番号)
②配偶者の年金手帳(基礎年金番号)
③自分名義の預金通帳(口座名義の記載された見開きのコピーでも可)
④自分の雇用保険被保険者証
※もし手元に無い場合は被保険者番号を確認する
⑤写真付きの身分証明書(運転免許、マーナンバーカード等)
⑥戸籍謄本全部証明
②と⑥は配偶者がいる方だけです。
年金相談当日と請求を
年金相談の当日
相談日の予約時間までに必ず年金事務所に出向きましょう。『完全予約制』なので飛込みの相談は受け付けていませんが、相談時間は限られているので遅れた場合はキャンセルになる場合もあります。
窓口の担当の方は既に相談内容を把握していて、年金の繰上げ相談であれば繰上げ請求での減額率や繰上げ請求でのデメリットなどを分かり易く説明してくれます。また、年金の『請求書』をその場で記入する場合は丁寧に記入の仕方を教えてくれます。
年金機構のホームページにも『請求書』の記入説明がありますが、『請求書』は全20ページあり全てについて説明が書かれているため逆に自分がどこを記入するのかが分からなくなります。
実際は20ページの内半分は説明と記入例が書かれているのと、自分には関係のない項目も多く、私の場合でいえば氏名、住所、電話番号、年金番号、雇用保険番号、年金受取口座、妻の氏名、年金番号程度で後は〇を付けるだけでした。
記入が必要なのは『年金請求書』『繰上げ請求書』の二つがあります。
やはり窓口の担当の方は内容を理解しているので必要の無いページはどんどん飛ばしてくれます。また記入の必要があるところは「ここに〇〇を記入して」という様に教えてくれるのでとても安心出来あっという間に完了します。
年金の繰上げ請求の場合、先の請求書2種に加えて戸籍謄本全部証明、預金通帳のコピー、ヒアリングシートがセットです。
その場で書類が揃わない場合、一旦書類をもらい書類が揃った時点で書類全部を窓口で用意してくれる封筒に入れ年金事務所にあるボックスに入れて完了することも可能です。
実は年金の請求は郵送でも可能ですが、やはり記入の仕方が曖昧だったり記入すべきなのかが判断できなかったりがあると思います。また、「もし郵送して記入に不備があった場合」翌月の請求扱いになってしまいます。
今の時代、行政の手続きは窓口と事務処理は分業化されていて書類の審査やデータ入力は広域事務センターという別な所で全て行っています。
だからこそ、不備の無い請求を一回で済ませるには窓口で説明を受けながら記入するのが一番間違いがありません。チェックも窓口の方が同時にやってくれるので安心です。
年金支給が確定
事務センターでの書類の内容確認が終わり『受付完了通知』が郵送で届きす。その後、請求から約1ヵ月後『年金証書』と『年金決定通知』が届きます。
年金の『決定通知』は請求から1ヵ月から2ヵ月とありますが、おそらく月に1回程度しか発送しないのではないかと思います。なので、月初に請求書を提出した場合は2ヵ月近くかかるのではないかと思います。
年金の初回が振り込まれるのはこの『決定通知』から50日後が基本です。
やはり、ホームページ等に書いてある様に3ヵ月後というのはあり得ます。年金の請求を考えている方は余裕をもって請求しましょう。
年金の豆知識
豆知識というか私が知らなかったことなのですが、年金の銀行振り込みは偶数月の15日が基本で、15日が銀行の休業に当たった場合は直前の営業日です。
年金を繰上げした場合の減額率ですが、一覧表を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
この一覧の見方はご存知ですか?繰上げ請求すると『老齢基礎年金』と『老齢厚生年金』の両方が減額となるのですが、生年月日によって見方が違ってきます。
老齢基礎年金は一律65才からが支給開始年齢ですが、老齢厚生年金は経過措置で生まれ年によって特別支給の老齢厚生年金がある場合は支給開始年齢が変わります。
繰上げ時の減額率はこの支給開始年齢が基準になります。つまり特別支給の老齢厚生年金がある場合はこの一覧を見る時は、老齢基礎年金は現在の年齢の欄を見ますが、老齢厚生年金は特別支給の老齢年金の支給年齢によってみる年齢欄が違ってきます。
また、一覧には『0ヵ月』から『11ヵ月』とありますが、これは誕生月を『0ヵ月』として請求月で何ヵ月かということです。
63才で3月生まれの方が8月に請求すると63才の『6ヵ月』のところを見ることになります。ただ、先にも書きましたが、もしあなたが64才から特別支給の老齢厚生年金が支給になる場合は1才多い欄を見て下さい。
年金に上乗せされる配偶者加給年金
もう一つ新たに分かった事は配偶者加給年金です。
これは本人が厚生年金に20年以上加入していて65才になった時点で年金受給前の配偶者がいて生計を維持されている場合に配偶者が年金受給年齢に達するまで支給される年金です。
何度か目にしましたが、年齢と厚生年金の加入年数は対象であったのですが『生計を維持される』という部分で「妻も仕事をしているので関係無いだろう」と思い込んでいました。
しかし、この『生計を維持されている』というのは配偶者の前年の年収が850万円未満でかつ所得が655万円未満なら『生計を維持されている』こととみなすらしいのです。
『扶養』というものの基準は制度によってかなり違ってきますので、よく調べるべきですね。
私の妻にはある意味残念ですがこんなに収入はありませんので配偶者加給年金の支給対象になります。更に、妻が65才(年金の受給権が発生)になった時点で加給年金は停止となります。
制度的には加給年金の停止と同時に妻の年金に振替加算が支給となるのですが、妻の厚生年の金加入年数からすると支給対象から外れるので支給されないことが分かっています。
加給年金と振替加算について詳しくは下記をご覧ください。
最初の年金支給は年金の決定通知の翌偶数月の15日に初回の年金が振り込まれるのが通常です。
年金の振り込みは偶数月です。例えば4月、5月支給分が6月15日の振り込みとなります。従って最初の支給対象月が奇数月であれば翌月の15日に振り込みがあるはずです。
繰上げるのは損か?得か?
「年金は繰下げが得か繰上げが得か」といったことを、60才近くなると考える方が多いのではないでしょうか。
私も色々調べて一番得な方法を模索していました。そして現時点では「分からない」という結論に達しました。
そう「分からない」んです。
出来れば損はしたくないけど…
繰上げすると減額されるし、繰下げると増額されるのは分かっているけど…
何故か…まず自分の年金が「何歳で受給開始すると幾らになるのか」が判然としないこと。そして最も不明なのが「自分は何歳まで生きるのか」ということです。
ハッキリしているのは『繰上げ』すると『長生きした時は損になる』ということです。
因みに75才~80才位まで生きていた場合『年金支給総額が逆転する』様です。
いずれにしても結果論でしかありません。
『人生100年時代』というキーワードをよく耳にします。
日本国内で100才以上の人口が2022年9月で約52万人だそうです。しかし、その内で何割の方が元気で頭もハッキリして暮らしているのでしょうか…
長年納付し続けてきた年金だからこそ「少しでも元気なうちに有効に使いたい」というのが私の考えです。
働きながら年金を受給するということも可能です。その場合は給与と年金の合算が月平均50万円を超えると超えた分の1/2が年金から減額されるのでよく考えましょう。
年金と合計して月平均50万円以上の収入がある人はそんなに多くは無いのではないでしょうか。
ちなみに私は現在もフルタイムで仕事をしていますが、60才を過ぎてからの収入が大幅に減少するため、仕事での収入だけでは余裕をもって生活するのは無理でした。
実際には60代前半の在職していて年金の受給権がある人の80%以上が減額されません。減額対象となるのは約17%(2020年の実績で試算)とのことです。
「自分は長生きするから少しでも年金月額が多くなる方を選ぶ」という考えもあるでしょう。
どちらを選択するのかは個人の考え方次第だと思いますが、途中で繰上げを辞めることは出来ないので後悔しないようにすることが大事だと思います。私の場合は生活に余裕も出来て「繰上げて本当によかった」と実感しています。